本テキストでは、抹茶の栽培方法や製造過程について詳しく解説します。特に「覆い下栽培」という技術がどのように抹茶の品質に影響を与えるのか、また収穫から製品化までの繊細な工程について触れます。抹茶の魅力を理解するための基礎知識を提供します。
覆い下栽培
抹茶の栽培には「覆い下栽培」が用いられています。この方法では、茶葉収穫の約20日前から直射日光を遮ることで、旨味成分であるテアニンが増加し、苦味成分であるカテキンの生成が抑えられます。この栽培法により、抹茶特有のまろやかさ、鮮やかな緑色、芳香が生まれます。覆いには伝統的な本簀覆や現代的な寒冷紗が使用されます。
収穫と製造過程
収穫は主に手摘みで行われ、新芽の柔らかい部分のみを丁寧に摘み取ります。収穫後、茶葉は直ちに蒸されて酸化を防ぎ、鮮やかな緑色と風味を保ちます。蒸した茶葉は揉まずに乾燥させ、「碾茶」となります。この碾茶を茶臼でゆっくり粉砕することで、抹茶が完成します。この工程は非常に繊細で、一台の茶臼で年間120kgほどしか生産できません。
主要産地
抹茶の主要産地には、京都の宇治、愛知の西尾、福岡の八女、鹿児島の知覧などがあります。これらの地域では、それぞれ高品質な抹茶が生産されており、地域ごとの特性が反映されています。抹茶栽培は手間がかかるものの、独特の風味や色合いがその魅力となっています。