抹茶を飲むときに茶筅は必要ですかとよく聞かれます。なくても飲む方法はあります。
例えばプロテインのようにシェイカーでしゃかしゃか振ったり、カプチーノを作る要領でミルクフォーマーを使用したりもできますが抹茶を日常的に楽しむのなら断然茶筅をお勧めします。
抹茶を“点てる“ときに必要不可欠な道具、それは茶筅です。
茶碗や茶杓などはカフェオレボウルやティースプーンでも代用できますが泡だて器は残念ながら茶筅の代わりにはなりません。
それでは茶筅は一体どこで作られているのでしょう?
安価に出回っているもののほとんどは中国製です。原料となる竹が豊富にあるので機械を使って大量生産が可能だからです。ただ竹の特徴である粘りのあるしなりが弱くすぐにしぼんだり穂先がぽきっと折れてしまうのだそう。
国産で作られている茶筅は奈良県生駒市の高山茶筌が有名です。
現在職人さんはたったの18名。そのうちのおひとりである久保駒吉商店の久保さんの工房を訪ねました。
素材となる竹は太くなると茶筅にはならないので2~3年物を使います。それを油抜きして2~3年ほど乾燥させます。
茶筅は伝統的に夫婦が分業で作ります。片木(へぎ)、小割り、味削りという工程は夫の仕事で面取りと最後に穂先を固定するするために糸で編む作業は妻が担当します。どの工程も根気のいる細かい作業です。その中でもお茶の味を左右するといわれている味削りは職人技の見せどころです。湯に浸してから皮の裏側を半紙くらいの薄さに削っていきます。
茶筅は流派や穂数によって40種類ほどあるそうです。余談ですが私が習っている表千家では煤竹を使用するのですがその数は年々減少して今では入手困難になっているのでお茶会やお茶事では煤竹を使いお稽古では黒竹を代用しています。
一般向けで近年人気なのはカラフルな糸の茶筅です。久保駒吉商店さんでもデザインや色遣いを工夫した可愛い茶筅を作っていました。
こちらの茶筅は毎週金曜日に中目黒で営業しているビオ抹茶カフェで購入可能ですよ。