5月2日は八十八夜です。毎年この頃から茶摘みが始まります。抹茶や玉露、かぶせ茶は覆い下栽培で作られています。
覆い下栽培とは茶摘みの20日以上前から本簀や寒冷紗と呼ばれる覆いをして直射日光を遮る方法です。露地栽培で作られる煎茶やほうじ茶、番茶などとは味・色・香りが違ってきます。
まず成分面では95~98%遮光することでテアニンがカテキンに変化するのを防ぎます。そのため苦味が抑えられ代わりに旨味が多くなるのです。
次に日光を遮られた新芽は少しでも光合成をしようとして葉の表面積を広げクロロフィルを増やします。その結果鮮やかな緑色の薄くて柔らかい葉になるのです。
最後に覆いをすることによって「覆い香」と呼ばれる芳醇な香りになります。
宇治周辺では川のほとりの平地で自然仕立ての抹茶が作られていて、和束町など山間部では弧状仕立ての煎茶が多く作られています。
さて茶摘みのシーズンに入ると朝早くから近所の方が集まり畝ごとに分かれて摘んでいきます。新芽のつやつやしている葉(と茎)のみを摘んでいきます。マットな硬い葉は去年の葉なので摘まずに残します。
茶摘みは晴れの日に行います。雨の日に摘むと「雨茶」と言って味・色・香りともに品質が落ちてしまうそうです。
茶摘みが終わるとひざ丈くらいまで木を刈り込み来年の茶摘みに備えます。その際に木にストレスを与えないよう少しずつ覆いを外していくのだそう。茶の木は品種にもよりますが30~40年で植え替えます。
ビオ抹茶ジャパンが仕入れている抹茶は京都では5軒ほどしかない有機農家さんで手間暇かけて大切に育てられています。茶の木には虫がいますが蜘蛛は他の虫を食べてくれる益虫だそうです。有機肥料を与えているため土がふかふかでした。ちなみに化学肥料を与えている土は硬いと仰っていました。
今回実際に茶摘みを体験させて頂いて機械摘みとは違い手摘みがいかに大変な作業なのかが身をもってわかりました。
次回は抹茶の原料となる碾茶の製造工程について触れたいと思います。